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ヨコヅナクマムシ:極限環境動物のモデルとして
 クマムシは、乾眠や極限環境耐性といった生物学的に非常に魅力的な現象を示す生物であるにもかかわらず、この生き物に関する研究は決して多いとは言えません。クマムシの研究が進展してこなかった大きな原因の一つとして、クマムシの飼育が容易でなかったことがあげられます。ある生物について研究をコンスタントに行うためには、その生物について飼育法を確立することが必要不可欠だからです。 Ramazzottius varieornatus - ヨコヅナクマムシ -
 そこで、私たちはクマムシの研究を発展させるために、容易に飼育できるようなクマムシを探し、飼育実験を行いました。その結果、陸産クマムシの一種「ヨコヅナクマムシ(学名:Ramazzottius varieornatus)」が藻類のクロレラを餌として、これまでに知られている他種のクマムシと比較して容易に飼育できることがわかりました。
 また、このヨコヅナクマムシは、卵、幼体、成体のいずれの発生ステージにおいても高い乾眠能力をもつこと、そして、高温・超低温・放射線・有機溶媒などの極限環境にも耐性をもつことが私たちの調査により明らかになりました。
Ramazzottius varieornatus - ヨコヅナクマムシ -  さらに、私たちはヨコヅナクマムシの実験系をさらに発展させるため、一個体に由来する標準系統「YOKOZUNA-1」を構築しました。
 これにより、これまで困難だったクマムシの研究をコンスタントに行うことを可能にしました。私たちは、このヨコヅナクマムシをモデルとして用いることで、乾眠や極限環境耐性の機構を探っています。
 また。現在、ヨコヅナクマムシが宇宙環境でも生存できるかを検証するため、地上での実験を実施中です。
参考文献
Horikawa D. D., Kunieda T., Abe, W. Watanabe M., Nakahara Y., Sakashita T., Hamada N., Wada S., Funayama T., Kobayashi Y., Katagiri C., Higashi S., and Okuda T. Establishment of a rearing system of the extremotolerant tardigrade Ramazzottius varieornatus: a new model animal for astrobiology. Astrobiology, 8: pp. 549-556, 2008
堀川大樹. 「ヨコヅナクマムシの乾眠と極端な環境に対する耐性」  耐性の昆虫学  pp. 136-146.   東海大学出版